第56章 お前がいないとだめなんだ カラ松
主の感じるポイントを、カリで引っ掻くように執拗に攻め立てる。
イったばかりで感度が強い主は、激しい快感に堪えきれないのか、シーツに爪を立てグシャグシャにしている。
オレの身体がこんなにも主を狂わせている…。
その事実が、目眩すら覚えるほどの激しい高揚感となってオレを獣に豹変させる。
寂しがらせた分、何度だってイカせてやる。
壊れるほどオレでいっぱいにしてやる。
片脚だけ上げ、斜めの角度から中に深く自身を突き刺すと、悲鳴のような喘ぎ声と共に主は身体を捩らせた。
絶頂を迎えながらぎゅうぅぅとオレを締め付けてくる。
と、そのタイミングでオレの左腕にヒビが入った。
(くっ…!)
だがしかし、愛する女を満足させずにセックスを中断するなど言語道断!
ここで引き下がったら男失格だ。
主の身体を抱き起こし、オレの膝に乗せて、キスをしながら挿入する。
奥まで入った感覚に、オレ自身も強く興奮してしまい、汗が目に入りしみるのもお構い無しに、無我夢中で腰の律動を続けた。
「やだやだ…こわい…っ!!もうやめてぇっ!!」
オレにしがみつき、ガクガクと痙攣している。またイッたようだ。
そして熱い抱擁でオレの肋骨も逝ったが、自身に課した試練を乗り越えるため、腰を振り続ける。
何度イったか数えきれなくなると、主がむせび泣き、震えながら抱きついてきた。
快楽漬けになり、自我が無くなりそうになる恐怖を覚えたのかもしれない。
一旦腰の動きを止め、落ち着かせるように優しくキスをした。
「…もう、イッてもいいか?」
戸惑いながらも、コクリと頷く主。
「怖がるな…もっとオレに身体を委ねてほしい」
そう言いながら怖がっているのはオレの方だ。
全身の痛みを、かろうじてセックスの快楽で封じ込めている状態だ。
たぶんオレはイッたら死ぬ。
え?死ぬ?
オレ死ぬの?
中断した方がよくないか?
もう十分主もイッただろうし…。
「いや…やっぱ疲れてるだろう?今日はこのくらいに…」
「ううん……カラ松くんにも気持ちよくなって欲しいからがんばる」
覚悟を決めたようなその瞳に、感動し思わず泣きそうになる。
死への恐怖と愛しさの狭間で揺れる………オレ。