第55章 ぼくだって甘えたい… 一松
主人公視点
「一松くん、ほらっ、帰るよ!」
久々に二人でデートをして、飲みに行ったまではよかったものの…。
「うー……」
顎を机に乗せて眠り始めてしまった。
ほっぺたはまっかっか。
あまりお酒は強くないらしい。
「ねえってば」
「ああん?誰がロシアンブルーだー?」
ダメだ。
出来上がっている。
「一松くんってば。帰ろうよー」
わたしが肩をポンと叩くと、一松くんはその手を掴み、自分の頭に乗せた。
(頭撫でてって事…?)
「お、お店出たらナデナデしてあげるからっ!」
「んーー…」
納得してくれたのか、ようやくフラフラと伝票を持って立ち上がった。
「あ…わたしも払うよ?」
「フーーーッ!」
「えぇっ!?」
…威嚇されたので、ご馳走になってしまった。