第52章 番外編 神松育成ストーリー(読切逆ハー裏)
わたしは彼の悲しみも心の傷も知らない。
でも、わたしと同じならば、今この瞬間抱き合う事で孤独を忘れたいんだ。
そうだね。
わたしも捨てられたゴミ。
ゴミ同士、傷を舐め合おう。
慰め合おう。
でも、わたしは一松以外の兄弟にも抱かれている。
一松は…わたしだけなのに。
…わたしだけで、一松の寂しさを癒してあげられるのかな?
「いちまつ…キスして…」
「…聞こえない」
「お願いキスして…!欲しい…一松が欲しいのっ!」
僅かな光が漏れる押入れでは、殆んど顔が見えない。
けれどわたしが懇願すると、一松の表情に一瞬悲しい影がよぎった気がした。
「…おれだけじゃないくせに!」
「ん…っ!」
一松は感情をぶつけるかのような激しいキスをしてきた。
歯がぶつかり合ってもキスが止むことはない。
「もっと、舌伸ばして」
ぎこちなく舌を伸ばすと強く吸われ、彼の口内へと招き入れられる。
「ん…ふぁ…きもちいい…きもちいいよぉっ!」
「…ハァ…ハァ……おれも」
わたしはどこまでも愚かで、どこまでも弱かった。
「…おれが一番、あんたをイカせてやる…!」
わたしが求めれば求めるほど、一松を傷つけている事に気づけずにいた。