第48章 ※ハロウィン戦争 トド松
ボクは作業の手を止めず淡々と、しかし憎しみと侮蔑を目一杯込めながら、兄さん達をあしらった。
「他のお客様のご迷惑になりますので、速やかにお引き取りください」
「心配するな。ちゃんと店を盛り上げてやるよ。このオレのラバーズバレットで、ハロウィンに心躍らせるカラ松ボーイズ&ガールズのハートを……バーンッ」
「そちらのテンガロンハットにラメラメクソタンクトップ、イタイ荒野のガンマン風なお客様は、存在自体が不快で迷惑極まりないので…」
「え…?」
『え?』じゃねーよ。いい加減気づいて。自己陶酔垂れ流しクソ野郎兄さん。
「もういい、帰ろう」
一方、くるりと背中を向けた一松兄さんは、全身モフモフな毛並みの猫の格好。
ってゆーか顔まで猫。再現度ハンパないけどそれ仮装?本物?どっち!?…まぁ、一番マシっちゃマシ。
「ええーーー!?パフェ食べようよーー!!!!ボゥエッ!!トッティー!なんだコノヤロー!!」
十四松兄さん。
うん、分かるよ?しゃくれた顎、赤いタオルに肉じゅばん、黒いパンツで猪○だね?ボンバイエだね?
分かるけどさ…
「トリックオーーアトッティーー!!!!」
痛っ!耳痛っ!
声でかいよ十四松兄さん!?
耳ビリビリしたし、さっきからその大声絶対店中に丸聞こえだから!
「ハァ…兄さん達、ホントはこんな事言いたくないけど…」
ボクは、作業する手を止め、澄んだ瞳でクソ共を見つめた。