第47章 僕、明日から本気出すから チョロ松
チョロ松視点
「僕、明日から本気出すから」
真っ昼間からダラダラしている、おそ松兄さんと一松に、僕は宣言した。
ドサドサと求人誌、資格免許のテキストを二人の前に置く。
「はいはい、来世来世〜」
「おおっ、一松ナイス!空気読んでえらいね〜!」
「え?来世じゃなくて明日からだけど」
来世発言を何故だかおそ松兄さんが褒めて、一松の頭をわしゃわしゃ撫でている。
今、家に居るのはこの三人のみ。
他の兄弟は出かけて行った。
まぁ、どうせしょーもない予定だろうけど。
「僕、彼女の為に明日から資格の勉強をしようと思うんだ。早く同棲も始めたいし。でもって…」
まだ言いかけていたのに、おそ松兄さんが僕の肩に手をポンと置いた。
「はいはーい、わかったわかった。性懲りもなく、またいちいち宣言してスゴいね?エラいね?輝いてるねぇ〜?んじゃ、俺は馬に会いに行くからっ」
「…おれも、猫に会いに行くから…」
二人して一斉に立ち上がり、
「ちょ、ちょっとまだ話は…」
—バタンッ—
出て行ってしまった。
一人部屋に取り残される僕…。
(何だよみんな…。向上心って物が皆無だよ、ホント…)
やっぱりマトモなのは僕だけだ。
暇になったから、本を片付けながら何をしようか悩んでみる。
僕のアイドル兼彼女の主ちゃんは、友達と温泉旅行中で会えないし…。
アニメイトは既に昨日行ってきた。
主ちゃんと付き合い始めてから、にゃーちゃんのライブには殆ど顔を出していない。
うーん、頑張ろうと決めたのは明日からだし…。
する事といえば…オナニーしかないか!
そう思い立った僕は、早速ティッシュを側にスタンバイ。
そして、本棚の後ろに隠してある、誰かのエロ本を引っ張り出し読み始めた。
その時——。
—ピンポーン—
玄関のチャイムが、ひっそりとした松野家に響き渡る。
(どうしよう、お客さんかな?今母さんもいないのに…)
この家に客なんて滅多に来ないよなと思いつつも、パーカーを目一杯下げて股間を隠しながら玄関へと向かった。