第39章 ※番外編 F6 十四松先生と二重奏を 第二楽章
主人公視点
夏のコンクールまであと一週間を切った。
わたしはまた、野球部のグラウンドに向かい廊下を歩いている。
——そろそろ合奏なのに、十四松戻ってこないから呼んできてくれない?
部長のおそ松くんに鼻血級なウインクをされながら言われたら、暑いけれど頑張って呼びに行くしかない。
わたしは、廊下でカラ松くんのテナーサックスを聴いて気絶している女生徒数人を尻目に、ひょいひょいとまたいで廊下を歩く。
そしてそんなわたしの後ろには…
「足元気をつけろ」
「ナイト」こと一松くんがついてきている。
一松くんのナイト宣言を受けてから、わたしは松野先生と二人きりになれる時間がほとんど無くなってしまった。
二人で演奏したのもあれっきりだ。
「あの、一松くん。呼びに行くのくらいわたし一人で平気だよ?」
「気にするな」
顔が赤らむ一松くん。
贅沢な事を言っているというのは重々承知だけど、こんなに素敵な人がいつもそばにいてくれるのに、何故か少し物足りないような…。
松野先生とまた二人でのんびり過ごしたい、演奏したいと思ってしまう自分がいた。