第38章 ※番外編 F6 十四松先生と二重奏を 第一楽章
主人公視点
「ねぇ、十四松くん」
「なーにー?」
よく晴れたとある昼下がり、わたしと十四松くんは河川敷でのんびり過ごしていた。
「昨日ね、すごく面白い夢見たんだ!」
「えーゆめ?ぼくはねー、妥当四銀っ!!」
「…ええと、わたしが言っているのは、眠っている時に見る夢のことだよ」
かわいく首をかしげる十四松くん。
「なーんだ!!それならぼくも昨日見たよ!JKの主ちゃんがラッパ吹いている夢!」
「えっ?ねぇ、それってもしかして吹奏楽部じゃなかった?」
「うん!それでね、ぼくは主ちゃんの先生だった!」
「えぇーっ!?」
2人で思い出せる限り、昨日の夢について語り合った。
「すごい、本当に同じ夢だ」
「おそろいおそろーい!!」
それは、現実では起こりえない事だらけで、甘い甘い素敵な夢のお話。
2人で共有出来たなんて、それこそ夢のようだ。
「いろいろあったよね…。ねぇ、恥ずかしいから、夢の話は2人だけの秘密だよ?」
「わかっターッチアーップ!!」
スライディングを始める十四松くんにわたしはクスッと微笑んだ。
きっと、あれは夢だけど夢じゃない。
違う世界で出会ったわたし達なんだ。
そう信じよう。
わたし達は、これからもあの夢を忘れる事はないだろう。
これはそんな、2人の思いが詰まった夢のような夢のお話……———。