第34章 番外編 F6 一松と囚われの姫君
F6一松視点
「主…」
俺が名を呼ぶと、虚ろだった主の顔に、幾分か生気が戻った。
「しっかりしろっ!!主!!」
五月蝿いウジ虫共の野次を吹き飛ばすように声を張り上げると、ピタリと静まりかえった。
「いちまつ…グスッ…」
「そんなに涙を流すな。お前が泣く時は嬉しい時だけにしてほしい」
「でも…でも…っ!」
「お前に、伝えたい事がある…うぅっ!」
会話の途中でまたイカされてしまった。もう、俺もそろそろ駄目かもしれない。
でも、その前に、どうしても主に聞いてほしい事があった。
身体を痙攣させながらも、いじらしく主は真っ直ぐ俺を見つめている。