第5章 四男と雨だれ
主人公視点
カーテンを少し開くと、窓ガラスを横殴りの雨が激しく打ちつけていた。
「土砂降りだね」
「ああ」
一松くんは無表情だったけど、少し困ったようにうつむいている。
・・・
今日は2人で少し遠出をして、招き猫発祥の猫神社に行ってきた。
神社に参拝した後は、うだるような暑さに負けずに2人で沢山遊んで、歩いて——赤塚駅に着いた頃には夜の9時を過ぎていた。
そして、いつものように家まで送ってもらっている途中、突然の雨に襲われてしまい…。
雨宿りのために、一松くんは初めてわたしの家にやって来た。
「びしょ濡れで薄汚いおれを家にあげるとか、ホント、不幸極まりないよね」
一松くんは、部屋の隅で体育座りをしながらボソボソとボヤいている。
(またいつものネガティブ妄想始めちゃった)
「とりあえず部屋着貸すから、シャワー浴びて着替えたら?お風呂も沸かしたし」
「え!?」
「服、びしょ濡れだから洗うよ」
わたしは部屋着とタオルを差し出す。
けれど、一松くんは受け取らずに座り込んだまま。
「…イヤ?」
無反応な彼をじっと待つ。
合うことのない目をひたすら見つめる。
・・・