第34章 番外編 F6 一松と囚われの姫君
F6一松視点
「はぁっ…はぁっ…!」
暗い通路を、帝国の追っ手から逃れるため、勘だけを頼りに必死に馳け回る。
我が最愛の姫君主が、帝国のアジトに囚われたと情報が入り、潜入したまではよかったのだが…。
俺とした事が、主の等身大パネルという、安直な罠にまんまと引っかかってしまった。
捕まりかけた所を、なんとかウインク砲で抜け出し、命からがら逃げている——という状況だ。
(俺はどうなったって構わない。主、お前だけは必ず救い出してみせる!!)
目の前の扉を開くと、外の螺旋階段に繋がっていた。
「見つけたぞ!!」
「!!」
外も既に包囲されていたか。
階段を勢いよく駆け上がったが、上と下から挟み撃ちにされ、取り囲まれてしまった。
(クソッ!でも、諦めるわけにはいかない!)
なんとか隙を作ろうと試みる。
「俺一人相手に、随分手こずっているようだな?まさかこんな大勢に歓迎されるとは思ってもみなかったぞ!」
「はっ!生意気な!」
階段の下からやってきた男が、うまく挑発に乗ってくれた。
男が銃を構えた瞬間、俺はそいつの顔面に蹴りを入れると、下の奴らは雪崩のように崩れ落ちてゆく。
(よし、このまま下へ逃げて…)
俺が走り出したその刹那、
「うぐっ!?」
後頭部に鈍い衝撃が走り、そのまま、目の前が真っ暗になった。
・・・