第33章 アンケート投票第1位 心霊スポットツアー おそ松
主人公視点
だんだんと涼しくなり、季節は徐々に夏から秋へと移り変わる頃…。
わたしは、おそ松くんに誘われ、六つ子のみんなとドライブをしていた。
スピードを上げるレンタルの白いワンボックスカーに揺られながら、みんなで楽しくおしゃべりをする。
運転手はおそ松くん、助手席はわたし。
二列目は右からチョロ松くん、トド松くん、カラ松くん。
三列目は右に一松くん、左に大はしゃぎな十四松くん。
十四松くんは、手をクネクネさせながら後部座席で暴れている。
「ぶーーーーんっ!!でたど、でたど!でたあぁーー!!」
「十四松兄さんやめてーー!!まだ何も出てないから!!」
「よーしよしよし…」
一松くんが十四松くんの首の下をスリスリすると、ようやく大人しくなった。
怖がるトド松くんをよそに、おそ松くんはわたしに「これかけて」と、アルバム名が記載されていない黒いCDを渡してきた。
真っ黒な謎のCDをかけると…
—それでね、いやだなーこわいなーってブルブルしてたらね、向こうの茂みから………おいおいおいおいおいおいおいおいって男の声が…—
「あひゃぁぁぁぁああーーー!!」
「うるっせーー!!トド松!左耳キーンってしたんだけど!?」
「おそ松にーさんやめてっ!!コレとめてーー!!」
右側にいたチョロ松くんは左耳にダメージを負ったようだ。気にする素振りも見せず、トド松くんはチョロ松くんに抱きついている。
黒いCDの正体は、稲○淳二の怪談ライブCDだった…。
「ハハハハッ!!ヤメテー腹いたーい!トッティ、こんなんでビビってたら現地着いただけでヤバいだろ!」
「おそ松くん!トド松くん泣いてるから止めるよ!」
わたしは、CDを抜き取った。
そう、今は深夜0時…。
これは、普通のドライブではない。
わたしが誘われたのは、
ちょっと季節はずれな、松野家心霊スポットツアーだった。