第32章 アンケート投票第1位 チョロ松は見た!
「はあぁぁあ……もうダメぇーーっ!イッちゃいますぅーー!!」
「イッちゃえよ?肉便器アイドル主ちゃーん?」
「ーーっ!!」
背中を仰け反らせ、脚をピンと伸ばし、主さんは僕の目の前でイッた……清々しいくらいにイッてのけた———。
(す、すごい…)
僕は息をするのを忘れるくらい、没頭して見ていた。
リアルで女の子がイクところを——初めて見てしまった…。
(なんて…色っぽくて、綺麗なんだろう)
主さんは、おそ松兄さんに身体を預け、ウットリとした表情で息を整えている。
彼女の汗ばんだ額を、兄さんがそっと撫でた。
「気持ちよかったか?」
「……うん」
この僅かなやり取りで、二人だけの世界がある事を思い知らされた。
(信頼し合っているから…あんなに恥ずかしい自分をお互いさらけ出せるのか…)
いや、アイツに関しては、信頼とか関係なく常にバカをさらけ出してるな。
でも、どうやら主さんは、本当におそ松兄さんに惚れているようだ。
(二人の世界を覗き見とか、僕はサイテーだ…)
いなくなろうと立ち上がり、リュックを持つと、
「じゃあ本番いってみよー!」
「キャッ!」
「本番」という言葉の魔力に、僕はまたしてもふすまの前に呼び戻されてしまった。