第4章 三男とオモチャ
チョロ松視点
今日は僕以外みんな外に出払っている。
そんな静かな松野家に、チャイムが鳴り響いた。
「は、はーいっ!」
少し緊張しながら玄関の引き戸を開けると、そこにいたのは!
「チョロ松くんっ。こんにちは!」
僕だけの僕だけによる僕だけのためのアイドル主ちゃん!!
「いらっしゃい…!あ、上がってよ!」
「ふふっ、お邪魔しまーす!」
主ちゃんがウチに遊びに来るのは今日が初である。
何度も会っているのに、未だに緊張している僕が可笑しかったのか、彼女はクスッと微笑んだ。
こう見えても、主ちゃんと出会う前はろくに女子と話せなかったんだ。
自分の成長は自分で褒めてあげることにしよう。
主ちゃんより先に階段を登り、僕は襖を開けた。
(よしっ…!無臭だよ…な?)
兄弟がいなくなったのを見計らい、僕は事前に部屋中をファブリーズで除菌しまくった。
普段野郎六人が過ごしているんだから、絶対臭い、野郎臭い!
そんな部屋に、大切な主ちゃんを案内する訳にはいかなかった。
「狭い部屋だけど、どうぞ!」
野郎臭がしないのを確認してから彼女を招き入れた。