第11章 十四松の笑顔
「ぐっは!!!!」
足四の字固めをかけられる夢を見て急に飛び起きた。
(あれ?ぼく何してたんだっけ?)
隣を見ると、スヤスヤ眠る主ちゃん。
(そっか!そのまま一緒に寝ちゃったんだ!)
ちらっと時計を見て、ぼくは驚いた。
じゅういちじ!?
大変大変大変!
銭湯閉まってる!
しかも、こんな時間までいたら悪いよね!
きっと明日も朝早いだろうし。
(…帰らないと…)
ぼくはまだ眠っている主ちゃんのほっぺにそっとキスをした。
「ぼくね、今日会えてうれしかったよ。ラーメンおいしかったし、ラッパも聴けてよかった。……またね」
寝顔に向かってさよならを伝える。
本当はもっと一緒にいたかったけど、自分に嘘をついた。
主ちゃんを休ませてあげないと。
ジャケットを羽織ろうとしたその時、
「帰っちゃやだ…」
「っ!!」
後ろから声が聞こえ、主ちゃんにぎゅっとされた。
振り返ると、まだ眠たいのか、少し腫れぼったい目でぼくを見ている。
「ゴメンね…ぼく起こした?」
「うん。だから、起こした責任とって」
「せきにん?」
「だって、夢の中で十四松くんと楽しく過ごしてたんだもん。せっかく、あとちょっとで…」
言いかけた途中、急に口ごもって何言ってるか分からなくなった。
「あとちょっとで、なーにー?」
「い、いいから!」
主ちゃんに腕を掴まれ、無理やりベッドに連れ戻される。
「今夜は…一緒にいて…」
「主ちゃんっ!?」
主ちゃんは、ぼくの上にまたがり、服を一枚一枚脱いでいった。