第75章 ※じょし松さんに溺れたい! 500拍手御礼
僕はyou主。しがない会社員だ。
女のような名前とはよく言われるけれど、結構気に入ってたりする。
まず、名前を忘れられる事は滅多にないし、女の子も呼びやすいからと気軽に名前で呼んでくれるからだ。
ある日、満員電車で痴漢冤罪になりかけた所を、たまたま隣に乗り合わせたOL風な女性が助けてくれた。
その女性の名前は松野おそ子さん。
お礼をしたいと言うと、友達になろうと連絡先を渡され、なんやかんやラインのやり取りがひと月ほど続いた。
そしてまぁいろいろあって、今度の土曜日、おそ子さんの提案で合コンをしようってなったんだ。
6対6と提示され、メンバーを集めたまではよかったものの…。
『えーっ!主くん以外全員キャンセル!?』
『すみません…日を改めてまたやりましょう』
電話の向こうで落胆するおそ子さん。
僕が集めたメンバー5人が、急に前日になって、出張が1日延びた、飼い犬が死んだ、彼女にバレて半殺しにされた、男に目覚めた、不治の性病にかかった、という真っ当な理由で断ってきたんだ。
『うーん、じゃあ合コンじゃなくて、とりあえず集まって飲まない?』
『えっ?男1人ですけど?』
『あ…イヤなら無理にとは言わないよ?でもみんな予定空けてくれてたから、どっちみちあたしらだけでも飲むけどね』
そう言われては断れない。
「みんな予定空けてくれてたから」がボディブローのようにじわじわくる。
『じゃあ、僕行きます!』
『ほんとー?ありがとー!待ってるね!』
おそ子さんの声が明るくなり、ホッとして電話を切った。
そして次の日、僕はお気に入りのジャケットに身を包み、待ち合わせの個室ダイニングへと向かった。
この後、おぞましい女子会に紛れ込んだ、哀れな子羊になるとも知らずに…——。