第73章 ※カラ松のお年玉
キスが止まらなくなり、屋根に押し倒し指を絡ませる。
ヒンヤリとした空気と静かな街のおかげで、細部まで主の体温と息遣いを感じる事が出来た。
そっと、服の上から胸の膨らみを撫でる。
「か…らまつ…くん…ここ、外だよ?」
「だからなんだ?」
「はずかしい…よ」
おぉ…なんか燃えてきた。
主初めしたくなってきてしまった。
このまま、いけるとこまで行くのが男ってもんじゃないか?
いや、でも寒いか。
だけど、物欲しそうにトロトロな顔つきになってるし…。
ならば応えてやるのがカラ松ofLOVE!
「マイハニー、いったん部屋に戻」
「カラ松くんっ!」
背中をペシペシ叩かれる。
「急にどうした?」
「見てっ!!」
振り返ると今まさに、初日の出が顔を出そうとしていた。
そうだった。
元はと言えば、初日の出を見るため屋根に上がったんだ。
主を起き上がらせ東の空を見れば、鮮やかな橙と青のコントラストに目を奪われる。
「綺麗…」
「主」
マイハニーは返事の代わりに肩に頭を乗せてきた。
「これから先、何回も、何十回も、こうしてお前と初日の出を見たい…」
「…うん、わたしも」
燃えるようなオレンジが、オレ達を照らしている。
まるで、二人の愛を見守ってくれているような、そんな優しくも強き光。
「マイハニー、あの初日の出がオレからのお年玉さっ!バーン!」
オレはサンシャインに向かい、指を拳銃に見立てて引き金を引いた。
「…まさか、それを言いたいがために初日の出を見に来たの?」
「フッ、たまたま思いついただけだ。玉だけに……って、あ"ぁぁぁあーーーっ!!!!」
それは、ハニーの髪を撫でようと少し身体を動かした時だった。
イタズラ好きな妖精がオレの足を引っ張ったんだ。
バランスを崩し、この通り地上へ真っ逆さま。
あぁ…残酷なる重力——。
空と主が…遠くなってゆく——。
——ドシーーンッ!!!!
「カラ松くーーーんっ!!??」
これぞまさに"落とし玉"……だな。
新年早々、いつも通り身体を張って落ちを担当したカラ松なのだった。