第73章 ※カラ松のお年玉
「さぁ、これを着て」
「ありがとう。わぁーさむーいっ」
実家に置きっぱなしだったドテラを主に着せ、屋根の上へと連れて来た。
夜明け前の薄暗い空を二人で見上げる。
「主、憶えているか?ここで愛を伝えたことを…」
「ん?ギターは弾いてくれたよね?」
…オレにとって、それが愛を伝えたつもりだったのに。
気づかなかったとは…。
寂しいぜマイハニーーッ!!
——だが、愛に孤独はつきもの。
この孤独があるから、繋がった時に深い充足感を得られるんだ。
ならば孤独も友だ。
むしろ孤独は親友だ。
親友よ、すまない、今は引っ込んでいてくれないか。
寒さに震える肩を抱き寄せる。
「あったかい…」
「そうだな」
今はこうして、二人でいられる喜びを噛みしめたい。
グッバイロンリネス!
青いドテラを抱きしめ、唇にそっとキスを落とす。
「ん……」
「動かないで…。オレのように落ちたら大変だ」
「落ちた事あるの!?」
「あぁ、だからしっかりオレに掴まっていろ」
ここホントに落ちるから。
主が落ちたらシャレにならない。
万が一の時はオレが下敷きになるけどな。
抱きしめれば、オレのダッフルに顔をうずめ吐息を漏らす愛しい人。
優しく顎を引き寄せ、絆を確かめるように、時間が経つのを忘れ夢中になってキスをした。