第10章 トド松のかくれんぼ
ショーツだけ残してあとは全部脱がせてしまった。
気になる柄は…花のレースがついた白…!!
「今日の下着もすっごくカワイイねっ!!見とれちゃうよ…」
「ありがとう…ちょっと恥ずかしい」
ふふっ、これからまた二人の甘い時間が始まるんだ。
期待に胸を弾ませ主ちゃんを抱きしめた。
——その時。
「いやぁー、勝った勝ったー!!」
玄関の引き戸が勢いよく開く音と共に、おそ松兄さんの声が耳に入った。
「フン、今日は幸運の女神がご機嫌斜めだったようだ…」
「びっくりしたー。ライブの帰りにみんなに会うとは思わなかったよ」
「十四松…散歩満足した…?」
「ワオーン!!」
青天の霹靂ーーー!!!!
なんでフル松兄さん帰ってくんのーー!!??
さっき確認したら夜まで帰ってこないっつってたじゃん!!??
マズいっ!!今居間に来られたら最大級にマズいっ!!居間だけにっ!!
ボクは、とっさに主ちゃんの腕を掴みトイレへ駆け込んだ。
「ここにしばらく隠れていて!」
「う、うんっ!」
忍びのごとく音を立てずに居間に戻ると、大変な過ちを犯したことに気がつく。
(ワンピースとブラジャー脱がせっぱなしーー!!??)
襖から玄関を上がる五人の影が透けて見える今、トイレに届ける時間はない。
僅かな時間の中、ボクは手の形をしたイスの後ろに主ちゃんの服とバッグを押し込み、隠すようにイスに座り込んだ。