第3章 光琉×廉斗
「俺は、どこにも行きませんよお嬢様」
予想外の言葉が発せられた。
きっと、分かりました、とか言われるんだとばかり思っていたけど。
「どうしてそう言いきれるの。もしかしたら、違う家に飛ばされちゃうかもよ?ヒロさんみたいにずっと居れる保証はないんだから...」
そうやって、小さい頃からみんな家から居なくなった。
ヒロさんだけ、そばに残ってくれて。
"わたくしはお嬢様の前から居なくなりません"
そう、私に言ってくれた。
けど貴方達はまだ新人。
どうなるか分からない。
「もっと、良い家に行かせられる...」
「いいえ。お嬢様以上に良い主など、この世には居ないと確信しております」
彼は私の言葉を遮り、そう言った。