第9章 榊原梓人と双子
梓人からしたら、
奪うなんて簡単なんだろ?
婚約者になりゃ済むもんな。
「楽なんもんだよね?
金と権利と身分さえあれば奪えるし??
またそうして俺の反応見て笑うんだろ」
「だから違うんだよ!!」
バンッッ
勢いに任せ、俺は梓人を壁に突き飛ばす。
やってることは子どもみたいで。
だけど怒りはおさまらなくて。
「何がちげぇんだよ
昔も今も、てめぇは卑怯なまんまだな」
「これは親が勝手に決めたんだ。俺じゃない」
「....っ、頼むよ...、俺さ....」
梓人。
お前はいつでも恵まれてた。
あの時も今も。ずっと。
言い訳みてぇだけど、そうなんだよな。
分かってるから言えない、何も。