第14章 燈る
家に着いてもメールのやりとりは続いていた。
お互いに家の事があるから、返信ペースはゆっくりなんだけど…
ずっと、『送る』『送らない』で揉めている。
『方向が違うから途中まででいい』『まだ明るいから大丈夫』と水戸部からの申し出を断ったのだが、
『毎日じゃないから』『危ないから家まで送る』と水戸部も譲らない。
同じようなやりとりを繰り返したが、
結局、私が折れた。
【よろしくお願いします。でも、お家の事も大変なんだから、私なんかの為に無理したりしないでね】そう返すと、しばらくたってから返信が来た。
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From:水戸部
To :
Sub :
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「なんか」じゃないよ。
陽向はもっと頼った方がいい。
じゃあ、また明日
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最後にきたメールを何度も眺める。
水戸部の声は知らないはずなに、
頭の中に心地よい声で「頼ったほうがいい」と何度も響いた。
目を閉じると、ニコリと笑う水戸部の顔が浮かぶ。
(あれ?)
顔が熱い。