第12章 立ち止まる
木吉のケガは思ったよりヒドイらしい。
戻るのは来年になるそうだ…。
思いもよらない話をリコから聞いて、体育館まで歩いていた足が止まる。
「碧、大丈夫?」
リコの問いかけで、また足が動いた。
「私達に出来ることは、決勝リーグを突破して、IHに行くことよね‼」と息巻いている。
リコはどこまでもポジティブだ。
彼女を見習うように、
自分に気合いを入れるように、
「そうだね」と返事をした。
皆も気持ちを切り替えて、木吉の分もと気合いが入っている。
しかし、その週末の決勝リーグ。
皆の気合いとは裏腹に、私達は大差をつけられて負けた。
王者と呼ばれる相手に歯が立たない。
「トリプルスコアか…」
日向の呟きが耳に残った。
創部して間もない誠凛バスケ部の今年の夏はここで終わる。