第11章 うつ向く
試合当日。
駅のホーム。
私は固まっていた。
「碧、顔色悪いぞ。大丈夫か?」
聞かれても返事が出来ない。
「ほら、もうすぐ電車来るわよ。覚悟決めなさい」
リコの激が飛ぶ。
「だいたい、そんなにダメなら、なんでもっと早く言わないのよ」と怒ってる。ごもっともだ。
「ご、ごめんなさい…一人じゃないから大丈夫だと思った…」
「なんで、そんなに電車が苦手なんだよ?」
日向に聞かれたが、それには「ごめん…。答えたくない」と答えた。
「なんなんだよ!それ!」
日向の額に青筋が見えるが、いくら怒られても話したくはない。
「…ごめんなさい」
呟くように謝れば、
「まあまあ」
と土田が日向を宥めてくれた。
ホームに電車が入ってくる。