第10章 開く
「ところで、今度の試合の会場なんだけどね」
「あっ、IHの予選のね」
「そうそう。一旦学校に集合して、それから電車で行くから‼」
その言葉に固まった。
「えっ?電車?」
「そう、電車。当たり前でしょ。歩いて行ける距離じゃないわよ」
リコが言う。
うん、そうだよね…。忘れてた。
公式戦は、うち学校の体育館でやるわけじゃないんだよね…。
「だから、すぐに持ち出せるように荷物の用意お願いね」
「う、うん。わかった」
「さっ、そろそろ教室に戻りましょ。また放課後ね」
そう言って、広げたお弁当を片付けはじめる。
どうしよう…。電車…。
乗れるんだろうか?
一人では無理だけど…お兄ちゃん達と一緒なら乗れるし。
皆と一緒なら…。
リコも居てくれるし、大丈夫…だよ、ね??…
試合前に不安がいっぱい。