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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第1章 入学


目が合ったまま固まってしまった。

たった数秒の沈黙が気まずい…

『よろしくね‼』
そう言えばいいだけなのに、なかなか言葉が出て来ない。


先に口を開いたのは彼だった。


「俺、木吉鉄平。よろしくな」


「ひ、ひ、陽向です」

どもってしまった…。

顔が熱い。



「緊張しすぎだろー」

彼、木吉くんが言う。


落ち着いて。落ち着いて。
ゆっくり話せばいい。
どもらないように、ゆっくり。


「よろしく…お願いします」

恥ずかしさやら、自己嫌悪やら、いろいろな感情が渦巻くなか彼に向かって呟くと、

「おおー」と言う返事とおおらかな笑顔がかえって来た。

怖そうな人ではないらしい。

それ以上会話が続かなかったのは、先生が来たから。

横を向けていた顔を前方へもどし、姿勢を正す。

教壇で担任として挨拶をする先生の言葉が右から左へ抜けていった。



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