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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第8章 渡り廊下【side 水戸部】


「水戸部、水戸部」


と、小金井につつかれて、陽向の方を見れば、恥ずかしそうにしながら控えめに手を振り返している。


促されて自分も振り返すけど、


たぶん…

今…

すごく締まりのない顔してる…。




そのまま、渡り廊下を進んで、教室へ入ると

「水戸部なら、陽向と並んでも背の高さは気にしなくていいねー」

なんて言われて、突然の言葉に首を横に振った。



「どーしたー?」

『否、大丈夫』

「なら、いいけど…」


頭の中で自分と彼女が肩を並べて歩く姿を想像して、顔が熱くなる。



この背丈の自分にとって…

女子は、
見上げて貰うか、
自分が屈むか、
一歩下がるか、
そうしなければ旋毛しか見えない。

要するに、見ようと思わなければ表情を見る事が出来ない。


でも、陽向は違う。

自然と視界に入って来る。


だからなのか

それとも、自分が持ち出した好意からなのか、

彼女の表情が気になるようになった。


目で追うようになった。


初めて会った時にお兄さんの服をぎゅっと握りしめていた彼女が、ずっと頭から消えない。



「水戸部ー。変だぞー。大丈夫か?」

目の前で手のひらを振る友人に、

『大丈夫』と頷いた。


「この前さー。陽向にどんくらいあるの?って聞いたんだけどさ、俺より2㎝高いんだってー。ちょっとショックだった」



肩を落とす小金井。




『まだ伸びるよ。きっと…』

と小金井の肩をポンポンと叩けば、


「水戸部はデカイから、俺の気持ちはわからない」とか八つ当たりされた。


「女子より低いんだぞ。マネージャーより低いんだぞ」と俺の肩を揺する。

そんな事言われたって…。



未だに肩を落とす小金井を横目に

また、来週も居るかな?
雨が降らないといいな。

と考えていると、授業開始のチャイムが鳴った。



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