• テキストサイズ

【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第7章 帰り道


「おーい」

腕を掴まれたまま進む私達を木吉が追いかけてきた。

「途中まで、俺も行く」

コクンと水戸部が頷いた。

今なら、言えるかも…

「あ、あの…。逃げ…ないので、腕を、離してもらえると…」


ボンッ‼という音をたてる勢いで、水戸部の顔が赤く染まり、ペコペコと何度も頭を下げた。

さっきの強引さから印象がガラリと変わる。

そんなに、頭を下げられると逆に申し訳ない…


「ははは。水戸部ー。陽向が困ってるぞー」


チラッと水戸部がこちらを見て、頭を上げたかと思えば、コテンと首を横にかしげる。


『許してくれる?』と言っている様な気がした。


「あ、あの…。許すか?って聞いて…るのかな?私、お、怒ってないよ。大丈夫だよ」


そう笑いかければ、下がっていた眉が戻ってニコリと笑う。

中庭で見た、穏やかな表情。

無口だとは聞いたけれど、その分表情が豊かな人だ。



向かい合ったまま立ち止まった私達を促すように「行くぞー」と木吉から声がかかり、揃って歩き出す。
/ 402ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp