第65章 掴む
赤司くんもゾーンに入った。
チームメイトなんて必要ないと言わんばかりの彼のプレーは見ていて気持ち良いものではない。
先程のタイムアウト。
『赤司は俺が止める』という火神に、福田から戸惑いの声も上がったが二年生達は冷静にだった。
「うちには火神が居る」
と、日向が火神の胸に拳をぶつける。
『エースに託す』皆が同じ思いで、彼に拳をぶつけた。
「ここからは、勝つか負けるかのガチンコ勝負よ。勝て火神‼」
リコの言葉に「おう!」と答える頼もしい背中を見送った。
火神と赤司くんが向き合っているコートの中。
「化け物…」
人を揶揄する言葉はあまり好きではないが、つい口からこぼれた。
それくらい、赤司くんのプレーは好きじゃない。
否、チームメイトなんて見向きもしないという彼の態度は、私は嫌いだ。