第63章 挑む
「黒子…」
「大丈夫です。必ず見つけます」
そう答える黒子に、コクンと頷いた。
影の薄さが消えてしまっているという黒子。
それだけでもショックだろうに、コート上には同じスタイルでプレーをする選手がいる。
否、同じじゃないらしい…。
姿を消す相手に食らいつくように、軌道をよんだ凛がカットに入るが、洛山の5番はパスを出さず、シュートを放った。
パシュとボールがネットをくぐる。
黒子の様にパスだけではない、普通にシュートも打ってくる。
そんな彼を、黒子はベンチから真剣な表情で観察していた。
(黒子なら大丈夫。ちゃんとコートに戻れる。頑張れ、頑張れ)
皆に比べたら小さな、
それでも、
ここ一番で頼りになる背中に、
トンと手のひらを当てた。