第63章 挑む
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さっき、聡史くんに会ってきたの。
本当は碧ちゃんにも直接言いたいんだけど出来なくてごめんね。頑張ってね。
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会場入り前に、久しぶりに来た彼女からのメールを読み返して、皆とフロアヘ向かった。
私達の前の試合。
つまり、海常対秀徳の3位決定戦。
前半終了後のインターバル。
練習に向かう私達と、控え室に向かう秀徳がすれ違う。
目の前には清志くんだ。
ポンっと私の頭に手を置いて、わしゃわしゃと撫でると、言葉もなく通りすぎた。
私も清志くんの方に振り返る事はしなかった。
乱された髪を直しながら、練習をはじめたコート上に目を向ける。
凛と目があった。
何かアクションを起こすわけでもない。
そのまま何もなかったかの様に目が逸れると、いつもの真剣な表情に変わって、練習を続ける凛。
その姿を、じっと見つめていた。
最終決戦が始まるまであと少し。
二号が弱さをもらってくれたお陰で、ちゃんと集中できそうだ。