第6章 見学
叩かれた方向に目を向けると、微笑む水戸部と目が合った。
「水戸部が一緒に行こうって」
無言の水戸部の言葉をコガが教えてくれる。
「えっ?水戸部、スーパー行くの?」
問いかけにコクンと頷いた。
「でも、家どっち?方角違うなら迷惑になるんじゃ…。それに買い物なら家から近い方が…」
彼の顔を見れば『問題ない』と言いたげに首を横にふった。
「大丈夫って事?」
私の問いかけに
「気にするなって言ってるよ。水戸部は兄弟多くてねー」
と、コガが説明してくれている。
その説明に対して
「でも、」「でも、」「だって…」
を繰り返す私に、水戸部が『ムッ』とした顔をした。
嫌な思いさせちゃったのかな…
つい、うつ向いてしまう。
すると、腕が掴まれ、体が引っ張られていく。
引っ張られる方向に連られて自分も歩くしかない。
「えっ‼…あの? ちょっと…」
反応はなくて、水戸部は前を向いて歩いていく。
穏やかな人かと思ったら、意外と強引…
引っ張られるのは、ちょっと怖い…
あの…誰か…
そう思い、振り向けば「また明日ー‼」とか「水戸部くんよろしくー」とリコが手を振っていて、
他の皆も「じゃぁ、お疲れー」と解散していった。