第60章 留まる
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何か、俺に話すことない?
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黒子の話を聞いて、皆と別れた帰り道。
マンションに着く手前で、変わらず機嫌の悪そうな凛から、そう書かれた画面が差し出された。
「…えっ?あの…えっと…」
心当たりがありすぎて、答えられずに下を向くと、
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会場で宮地さんに聞いた
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とまた画面が出される。
だから、遅かったんだ。
清志くん、何で?
「ごめんなさい…」
私が謝ると顔をしかめた。
カチカチカチと操作音が響く。
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何に謝ってるの?
黙ってた事?
された事?
それとも、俺と別れたい?
宮地さんに遠慮しないって言われた。
俺も離すつもりないから。
碧はどうしたいの?
ずっと隠してるつもりだったの?
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ここまで饒舌な凛ははじめてだ。
こうやって画面で会話していたって、だいたい一言、二言しか言葉は無い。
たぶん、隠し事が嫌いな彼は相当怒っている。
いつもの優しい笑顔はない。
辛そうな顔…。
そんな顔を凛にさせているのは、
私だ… 。