第59章 佇む
海常の連携、
黄瀬くんのプレーに苦しめられたけど、
黒子のブザービーターで、試合が終わった。
(勝った。海常に)
フロアを出てからも皆が勝利への喜びに沸くなか、手のひらを見つめる黒子。
「どうした?黒子」
土田が聞くと、
「僕は今まで…」と話しだした。
見たこともない最大限に緩んだ顔に、皆が驚く。
明日は決勝だ。
日本一まで、あと一つ。
「さあ、帰るぞ」
皆を促す様に日向の声が響いたかと思えば、
それを掻き消すように「あー‼」と火神の声が響く。
「リング無くした。ちょっと探して来るっす」
そう言って走り出す火神に皆がちょっと呆れていた。