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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第54章 誤魔化す


皆で会場を後にする。
足取りが重くなって、気づけば列の最後尾にいた。



着替えるのが面倒で、試合後の格好のまま上から羽織ったカーディガンに袖を引っ込める。

寒くなんかない。
そのはずなのに、やたらと身体が震えるのは何故だろう…。


トントンと肩が叩かれて、ニコリと笑う凛が首を傾げた。

自分の上着を脱ごうとする。


「だ、大丈夫。寒くないよ。それ脱いだら凛が風邪引いちゃう。やめて」


必死で止めたら、納得してくれた様で、脱ぐのをやめた。

下を向いたまま歩いていると、

‐‐‐‐‐‐‐
宮地さんと何してたの?
‐‐‐‐‐‐‐

と、ケータイの画面が差し出される。


「気づいてたの?」

凛がコクンと頷く。

皆、取材に集中してたから、清志くんとその場を離れた事は気づかれていないと思っていた。


凛に『なんでもない』は通用しない。

だからと言って話せない。
話したくない…。

さっきの事を凛が知ったら、嫌われてしまう…。

「次は準決勝だねって。お互いに勝ち上がって決勝で戦おうって話してた」

また、嘘が出た。


『それは?』

首を傾げて私の膝を指す凛の目はそう言っている。


「ちょっとムキになって言い合いしてたら、足元不注意で転んじゃった…」


次々に嘘を重ねて、必死に誤魔化した。


眉を下げて私を見る凛に「大丈夫。大丈夫」と笑って答えて…

(ごめんなさい…)

心のなかではひたすら謝った。

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