第54章 誤魔化す
ひとしきり泣いて、頭の中を落ちつけてから、ハンカチを濡らして、滲んだ血が固まりかけている膝を拭いた。
「…っうぅ…」
じわり、じわり、
と、膝に、胸に、痛みが広がる。
ふと、ポケットの中のものを思い出した。
取り出して画面を開けば、たくさんの
着信。メール。
受信された中で一番新しいものを開いた。
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From:凛
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何してるの?
どこにいるの?
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取材の途中で居なくなったんだ。
心配かけて当たり前…。
【気分が悪くて外に居ます。もう少ししたら戻ります】
今更だけど、そうメールを返した。
(ごめん。本当にごめんなさい、凛…)