• テキストサイズ

【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第52章 手当たる


「ごめんね。起こして…。気にしないで」

なんだか変なタイミングで伝わってしまった気がして、謝罪を口にすると、



「碧、変わったよな」

呟くように木吉が話し出す。

「俺もバスケ始める前はデカイ身体がコンプレックスだったんだ。だから…碧の気持ち、なんとなくわかるんだ」


チラリと目線だけでこちらを見据えた。


いつだったか…

そう、確か…

去年の夏休み明けに、

友人から言われた言葉を思い出した。

『木吉くんは碧ちゃんの事見てたから』って言ってた気がする。

彼女は、それが、木吉から私への好意だと思ったみたいだけど、

木吉は自分と同じコンプレックスを持ってる私を、ずっと気に掛けてくれていたんだ。
もちろん友人として。


今更ながら、彼女が言っていた言葉に妙に納得をして、

そして…

目の前の彼に感謝の気持ちで一杯になった。


「よかったよ。入学式の時の事を思えば今の方がいい。まぁ、あれはあれで、見てて飽きなかったけどな」

そう言って、また穏やかに笑う。


挙動不審だった自分を思い出して、ちょっと恥ずかしくなった。


「変わったのかな?だったら、バスケ部の皆のおかげだし、誘ってくれた木吉のおかげだよ。…そんな事より休んだ方がいいよ」

はぐらかす様にそう言って、木吉から目線を外す。

薄い緑のパーテーションや、白い天井が視界に入った。

「そうだな」

木吉の声がして、また目線を戻せば静かに目を閉じていた。

(本当にありがとう。あんまり無茶しないでね)

口には出せないけど、心の中で呟いた。
/ 402ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp