第52章 手当たる
二回戦。中宮南戦。
ちょっと皆の様子がおかしかったけど、
日向の言葉とリコの張り手でいつもの調子を取り戻し、無事に勝つ事ができた。
凛の頬に残る紅葉が痛々しい。
「頬っぺた痛くない?」
帰り支度を終えた控え室の隅で凛の頬をなでる。
頬に触れた私の手に、自分の手を添えて『大丈夫』と笑う凛。
そのまま、ぎゅっと握られた手のひらからは、
『もう気を抜いたりしない』
そんな決意が感じられた。
次の日。三回戦。
森園北戦も無事に勝ち進み、
明日は準々決勝。
ほぼ、第2の部室となりつつある火神の家で、相手校のビデオを見て、たまらず絶句する。
(失点無しって…)