第50章 始まる
「火神、それどうしたの?」
『赤司くんと会ってきます』と皆から離れた黒子とそれに付いて行った降旗が、火神を連れて帰って来たかと思えば、火神の頬に傷がある。
「なんでもねーです」と頬を拭う火神の手を止め、念の為に消毒をした。
「いくら小さくても怪我して帰って来ないでよ…。今日もゴールに頭ぶつけるとか止めてよ。無茶しないでよ」
「わかってるっすよ。心配しすぎっすよ」
「だって…。火神はうちのエースだもん…」
「陽向さん。最近、そうゆうのに敏感ですね」
私と火神の会話を聞いていた黒子が話に入る。
「目の前で選手に怪我されて喜ぶマネージャーは居ません」と言えば、
「そうですね」と返事が来て黒子が笑った。
つられて、私も火神も笑う。
「お二人とも頼りにしてます」
そう言って、頭をペコリと下げて二人から離れた。
奥の方から
「碧もすっかりマネージャーっぽくなったなー。俺は嬉しいぞ」
「お前は陽向の保護者かよ。ダァホ」
なんて、木吉と日向の声が聞こえた。