第48章 手にする
霧崎第一戦。
控え室のピリピリとした…
殺伐とした雰囲気に耐えきれず私は外へ出た。
「はぁー」っとため息を着く。
切り替えよう。
私が気にしたってどうにも出来ない。
そう思うが、去年の事が頭から離れない。
去年、霧崎第一との試合で、
あきらかに故意と思われるプレーで、
木吉が怪我をした。
万が一、また誰か怪我をしたら?
もし、それが凛だったら…。
(ううん。やめよう)
嫌な考えを振り払うように小さく首を横に振った。
「大丈夫ですか?」
聞こえた声に顔を上げると福田がいる。
「そろそろ行くそうです。大丈夫ですか?」
「大丈夫。ありがとう」
そう返事をして、福田と共に控え室に戻った。
皆の顔を見回す。
リコの、日向の、皆の表情が硬い。