第45章 動き出す
体育祭も文化祭も終わって、肌に感じる季節も変わった。
体育祭では、持ち前の運動神経の無さが発揮されて、競技は全然ダメで主に応援をがんばった。
文化祭では、クラスの女子が交代で着ると用意されていた衣装を着てみたけど、丈とかサイズとかがちょっと合わなくて…。
女の子達にはやめた方がいいと言われた。
梓ちゃんが面白がって凛に見せたけど、焦ってどっか行っちゃうし…。
だから、当日は徹底的に裏方役。
そんなイベントが通り過ぎて、
いよいよ、WCの予選が始まる。
久しぶりに公式戦に出る木吉は朝から顔が緩みっぱなしで、締まりがない。
「嬉しそうだね」
隣に並んで声をかければ
「まぁな」と、満面の笑みが返って来た。
こちらも、つられて表情が崩れる。
初戦は、丞成高校。
木吉がいることに相手チームが驚いている。
忘れてたけど…木吉って凄い選手だった!
いざ、試合開始!というとき、相手側の9番がリコを見てとても失礼な事を言った。
色気がどうとか…。
明らかに怒りを纏いながらニッコリと微笑む彼女。
「ぶち・ころ・せ」
となんとも物騒なサインを出し、試合が開始した。