第41章 踏み出す
「陽向さん、どうするんですか?」
突然現れた黒子の問いかけに、ぽかんと口が開く。
隣に居た凛も『何が?』と言いたげに首を傾げた。
「合宿です。山の。どうやって行くんですか?留守番ですか?」
あっ、その事か…
去年は…行きはお兄ちゃんがバイクで連れて行ってくれて、帰りは、この前の海の時と同じ様に、リコや荷物と一緒に影虎さんに乗せてもらった。
でも、今年はやっぱり…。
「えっと…皆と行きます…」
バッと音がする勢いで前を歩く皆が振り返る。
「大丈夫なのか?」と伊月が聞いた。
「だ、大丈夫…じゃないかもしれないけど、いつまでも避けてられないし…。いい加減…慣れないと何処にも行けないし…。留守番も嫌だし…。でも、迷惑かけるかも…。」
皆の反応が怖くて、恐る恐る顔を上げれば、
『大丈夫』だと皆が微笑んでくれた。
「よかったー。陽向が居ないとメシに困るもんねー」
「カントクだけじゃ不安だからな」
「ちょっと!それ、どうゆう意味よ‼」
皆が口々に溢す言葉に反論をしたリコは、
こちらへ寄ってきてドンッと私の身体を押す。
脚がもつれて、よろめくが凛に抱き止められた。
「とりあえず、水戸部くんにくっついときなさい。頼んだわよ。水戸部くん」
コクリと凛が頷いた。
「なんなら、寝ちゃえばいいのよ。そしたらすぐ着くわ」
リコの言葉に今度は皆が頷いた。
本当にいい人達ばかり。
「うん」と返事をして、凛のシャツの裾をきゅっと握った。