第40章 沈む
袖を摘まんだまま、もう一度、
「ごめんね」と凛の顔を見上げれば、
バッと音を立てて手や腕が離れる。
そのまま少し距離を取られた事にすごく戸惑った。
離れた距離と辺りの暗さで凛の顔が見えない。
嫌われた?
また泣きそうだ…
それでも、誤解されたくなくて、嫌われたと思いたくなくて、「河原がね…」と先程の事を話しはじめた。
「何も出来なかった自分が嫌になったの」
全部話して最後にそう言うと、離れていた距離が縮まって頭を撫でられた。
カチカチと操作音がして、下を向いたままの私に画面が差し出される。
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気にすることないよ。
俺だって同じような事、思った事ある。
自分で立ち直るから大丈夫。
明日にはいつも通り。
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おずおずと顔を上げれば凛が微笑んでいる。
「許してくれる?」
少し不思議そうな顔をして、コクコクと頷いた。
また画面が差し出された。
‐‐‐‐‐‐‐‐
怒ってないよ。勝手にイライラしてただけ。
碧が辛いなら、一番に頼って欲しい。
でも、俺が頼りないからダメなんだよね。
ごめんね。大丈夫?
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たぶんさっき痛いと言った腕の事。
「大丈夫だよ。それにいつも頼りにしてるよ。凛が居ないと困るから…嫌われ、なくてよかった…」
そう言うと首を傾げた。
「さっき、急に離れたから…」
そう返せば、ブンブンともげそうな位に首を横に振る。
「凛…」
『首がもげそう』と続けようと思った。
でも…。
さっきはわからなかったけど…
凛の顔が赤い。
「どうしたの?」
今度は私が聞く番だ。
なのに、私の問いかけは、
ぎゅっと抱きしめられることではぐらかされてしまって、
「ちょっと…」と小さく抵抗すれば、
おでこで「ちゅっ」とリップ音が鳴って
思考が停止した。
体は離れても顔は熱を持ったまま…。
そのまま、凛に手を引かれてマンションまで歩いた。
エントランスで凛と別れて、
なのに、すぐに届いたメールに首を傾げる。
‐‐‐‐‐‐‐‐
From:凛
To :
Sub :
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いつも思うんだけど、
ちょっと、無防備すぎるよ
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《どうゆうこと?》
と、返信をしたけれど、
私からの質問に凛からの回答は貰えなかった。