第38章 行き交う 【side宮地】
ピタリと止まった水戸部の足。
目付きの悪さはお構い無しでそっちをみれば、水戸部と目があった。
不機嫌そうに眉間に皺を寄せている。
(不機嫌なのはこっちも一緒だ。知るかよ…)
「うるせーな。従妹だって言ってんだろーが‼こいつを囲むなよ‼」
目線を目の前の奴等に戻し、いつもの様に碧を庇う。
「お前も落ち着けよ…」
そう言いながら碧の頭を撫でる。
ガキの頃から変わらない。
俺にとってはいつもの事だ。
(変わらねぇ…はずだ)
どいつも、こいつも、目を丸くして口をぽかんとあけているのが、笑える。
コイツは弱いし、すぐ泣くし、
だから、放っておけなくて、
守ってやんないといけなくて…。
それは、なんも変わってねぇはず。
「宮地さんが、マジで別人」
そう、ケタケタ笑っていた高尾は、後で跳び蹴りを食らわしておいた。