第38章 行き交う 【side宮地】
「おい、宮地‼聞いてるか?宮地‼」
大坪に呼ばれて、ハッと意識を戻す。
「あ?なんだ?」
「なんだ?じゃないだろう。さっきからむこうばっか見てるけどどうしたんだ?」
「あぁ、まぁ…」
歯切れの悪い返事をしたと思う。
だって、コイツと木村は知ってんだよ。
俺が…。その…。
「なんだよ。宮地らしくないな」
確かにらしくねぇけど‼と思っていると、話しに入り込んで来たのは高尾だった。
「宮地さーん。前に本人に聞いたんですけど、誠凛のマネージャーさん、従妹なんですよね?」
高尾の言葉に大坪と木村の顔が勢い良くこちらを向く。
その顔に書いてあるのは『興味津々』の文字。
「あの子が例の従妹か。ってか、早く言えよ‼」
木村がバシンと俺の肩を叩く。
おい、高尾‼
余計な情報流してんじゃねぇよ‼
轢くぞ‼
以前、迂闊にしゃべってしまった自分が本当に恨めしい。