第4章 従兄弟
言いたい事はすぐわかった。
きっと、
『何で同じ高校にしなかった?』
そう言いたいんだろう。
幼稚園から中学校まで、ずっと一緒だった清志くんと裕ちゃん。
困った時にはいつも助けてくれていた。
でも…だからって高校まで同じにする必要はない。
そう思ったから、マンションからの距離を優先して高校を選んだ。
「新設校だろ?お前、友達とかできんの?」
(清志くん…友達できるかどうかと新設校は関係ない気がする…)
言いたいのを飲み込んで、
「秀徳は電車乗らないといけないから…」
と答えれば、
顔を少し歪めて、気まずそうに目を逸らされた。
そう、だった…
清志くんは、私が電車に乗れなくなったのは自分のせいだと思っている。
なのに、私。
こんな事言っちゃって…。
「あっ…あの…。清志くん。ご、ごめんね。違うの…」
「碧 、友達できたんだよな!今日、会ったんだよ」
私の声を掻き消しながら、場を取り繕う様にお兄ちゃんが話しに加わる。
「なっ?碧ー?」
ポンポンポンとお兄ちゃんが私の背中を優しく叩くと、
『そうなのか?』とでも言いたげに、従兄弟二人の視線がこちらを向いた。
「友達というか…一番背が高い人が隣の席なの。あと、仲良くしてる子の彼氏がいた。その他はほぼ初対面だよ」
お兄ちゃんにバスケ部の皆との関係を伝える意味で、そう話した。
「そーいえば、さっきのどうするんだ?マネージャーってやつ。俺は良いと思うけど…」
やっぱりそうなるよね…。
ちょうどいいから相談しよう。
お兄ちゃんから話しを振られたので、先程の事を従兄弟二人にも話した。