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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第34章 触れる


上半身をひねって少し顔を上げると、すぐそこに凛の顔がある。


いつもより近い位置にドキドキした。
目線をどこに持っていっていいのかわからない。

顔が熱い。
心臓がうるさい。

凛の目を見つめる事なんて出来る訳無くて、
自然と下を向いてしまう。



チラリと盗み見るよう視界へ入れた凛の表情は、悲しげで、いつもより頼りなく見えた。

慰めにもならないかもしれないけど、
的外れかもしれないけど、

『私の気持ちは伝えなきゃ』

そう…思った。



顔が沸騰しそうな位に熱を持つ。


バクバクする心臓を押さえて、
意を決して、


「わ、私ね、凛が…好きだよ…」

やっとの事で口にした言葉。


落としていた目線を凛の顔へと向ければ、
先程とは彼の顔つきが変わっていた。


「だから…」と続きを言おうとしたのを目線で止められ、身体に添えられていた右手が私の左頬に触れる。

肩や背中に当たる腕に力が入って、凛の方へと引き寄せられた。



近かった距離がさらに近くなる。
私の顔も赤いだろうけど、凛の顔も赤い。

「り、凛?」

いつもの様な、穏やかな顔ではない。
私を見つめる凛の目に吸い込まれそうだ。




優しく左頬を包んでいた右手が目元に移動して、目隠しの様に覆われる。


反射的に目を瞑ると唇に柔らかいものが触れて…

すぐに離れた。







頭が真っ白になった。







覆われていた手が離れたので、
ゆっくりと目を開ければ目の前に凛の顔があって。

咄嗟に顔を引こうとしたけど、凛の手に阻まれて…。


また、顔が近づく…



今度は自ら目を閉じた。



もう一度、優しく触れるだけのキスをした。



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