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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第33章 補う


それから、食事を終えた黒子が「変わります」と戻って来て、少し驚いた顔をした。

「さっきまで、開きもしませんでした」

黒子が指差す先は教科書。

「ちょっと、駄々っ子を宥めただよ」と言い、「宥めたけど、教えてはいないので、それはお願いします」と頭を下げた。

「承りました」

私に倣って黒子も頭を下げる。

こちらを見て、火神がぽかんとしたので、「敬語ってこうやって使うんだよ」と教えて、部屋を出た。




リビングでは皆がわいわいと話をしている。


「陽向ー。火神どうだったー?」

「とりあえず、机には向かったよ」


私の答えにリコは満足そうに頷いた。


「流石ね。思った通り‼碧の話なら聞くと思ったのよ」

リコ曰く、火神は私が苦手らしい。

というか、リコの様にハキハキしている女子ならともかく、私の様なタイプはどう接したらいいのか迷うらしい。

さっき、バツの悪そうな顔をしたのはそうゆう事かと納得した。

火神のたまに見る威圧感に耐えかねて、私が一歩引いてしまっていることを彼は感じとっているんだろう。

申し訳ない事しちゃってたんだな…

小さなモヤみたいなのが胸の中に産まれて、自分の態度が火神を困らせていたんだと、心の中で深く反省をした。




「だから、碧の話しなら、むやみに反抗せずに聞くと思ったの」

「「「「へぇー」」」

私が反省をしている間も続いていたリコの言葉に全員が頷くと、

私の前に、コトンとお皿が置かれる。

凛が夜食をよそってくれて、出してくれた。

「ありがとう」


お礼を言えば、ニコリと微笑んで頭を撫でられた。


それだけで、

いつもならしこりの様に留まり続ける胸の中に産まれた小さなモヤは、吹き飛んでしまった。


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