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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第33章 補う


いつものプールサイドに、桃色の髪をした可愛い女の子がいる。

「テツくんの彼女です」

そう、自己紹介をした彼女は桃井さんと言うらしい。

皆の顔が赤い。

彼女をみれば「そりゃ、そうだ」とも思う。

でも、顔を赤くする凛を見て、ちょっと不機嫌になった。

唯一、桃井さんにそっぽを向いた小さな新入部員は、モフモフの体を刷り寄せて、私の足にまとわりついた。


「君はいい子だね」
「わぁーう?」

首を傾げてこちらを見つめる目は拾い主である黒子にそっくりだ。




「焼きもち焼くくらいなら、碧も脱げばいいじゃない。勝負してみたら?」



「勝負って…何を?あと、出したくないって前にも…」

リコを見てギョッとした。
桃井さんにケンカを売られた今のリコはすこぶる機嫌が悪い。
さっき、日向も沈められていた。

「待ってリコ…」

続きを言おうとしたが、ガシッと手が掴まれ、
「大きさに決まってるじゃない。なんなら、脱がせてあげようか?」
なんてステキな笑顔で言われた。

ヤバい…。リコの怒りのボルテージが、また上がっている。


Tシャツの裾にリコの手がかかる。

「待ってリコ。私、水着着てない」

言葉で抵抗を示すが、彼女は全く聞く耳を持たない。

結構、ぐいぐいと脱がせにかかる。
私も本気で抵抗する。

「 勝負なんかしなくても私の負けは確定だから!!」

「うるさいわよ。桃井とそう変わらないじゃない!嫌味か!!」

「お願い、リコ待って!!私、水着着てないって。脱いだら下着だって!」

大きな声を出すつもりはなかったのだが、必死のやり取りはプール内に響いてしまって、皆の動きがピタリと止まった。

「あっ、そうだったわね」

静まりかえったプール内で怒りのボルテージが下がったらしく、冷静に手を離すリコとは反対に私の顔はきっと真っ赤だ。

恥ずかしくて、顔を隠すように下を向く。


チラッと目線をあげれば、皆に囲まれた凛が、真っ赤な顔でフルフルと首を振っているのが見えた。

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