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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第31章 募る


「ねぇ、どうしたの?」

校門前でトントンと肩を叩かれ振り返れば、
突然、リコに問いかけられた。


「えっ?」

挨拶もなく問いかけられた事に私は驚いた。
それに、
リコだけでなく日向や伊月も居ることにも、今、気がつく。


「声掛けてるのに、全然気づかないんだもん」

と膨れるリコ。



「えっ?あっ、ごめん。おはよう」

「陽向って考え込むとトコトンだよな」

「ははっ。よく、言われる…。『ぼーっとしてんなよ』って」

「あぁ、そうだったな」

ため息をつくように言葉を洩らす伊月に苦笑いを返す事しか出来ない。


今日も、やっぱり帰れと言われるだろうか?と考えていたとは言えなかった。


「さっ、行きましょ」

先を歩き出すリコに促された時、

「陽向さーん!」と私を呼ぶ声がして、再び振り向いた。


あっ、堀内くん…なんで?


今は朝練前だ、彼がこの時間に来るのは少し変。

人を見た目で判断してはいけないが、たぶん運動部では無いであろう彼は、ぜぇぜぇと息を切らせて、こちらに近づいてきた。


「はぁ…、よかった。間に…合って。はぁ…、あ、あのさ…。はぁ…、陽向さんさ…」

「と、と、とりあえず…落ち着こうよ」


息を切らしながら話す彼に声をかければ、

「お前が落ち着けよ」と日向が突っ込む。



未だ「はぁ…はぁ…」と肩で息をしている堀内くんが落ち着くのを待っていると、凛とコガもやって来た。


「おはよー。皆、そんなとこでなにしてんのー?ってかなんで堀内が居るのー?」

とコガが聞く。


ハッと顔を上げた堀内くんが凛を見て、
そして、すがり付いた。



「水戸部、頼む!僕に陽向さん貸してくれ!」


えっ?私を貸す?



ムスッとした凛の顔と、
「「「はぁ!?」」」という皆の声が重なった。



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