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【黒子のバスケ】伝える。聴こえる。

第30章 気兼ねる


「何をそんなにウジウジする必要があるんだ?」
私が話しをした後のお兄ちゃんの一言目だ。

ちょっと安心したようなその顔には『大した事じゃなくてよかった』と書いてある。

私が、小学校・中学校と、背の高さや体型をからかわれ続けて来た事を知っているから、きっと今回もそうだと思ったのかも知れない。

高校には、いつも私の変わりに言い返してくれた清志くんや裕ちゃんが居ないから、

お兄ちゃんは、それなりに心配していたんだろう…。


「碧のことも、チームメイトの彼のことも考えての事だろ?いい奴らじゃん。甘えればいいんだよ。だいたい、碧が居たところで何も出来ないだろ?」

すごくいい笑顔で、サラリと酷い事を言われた気がする。

「わかってるもん…」

「わかってんなら、ウジウジせずに自分の仕事をしなさい」

言いながら、私を促すように指さす先はキッチン。

「碧しか出来ないことなんだろ?」と問う。

そうだ。
これは私しか出来ない事。
さっきだって、皆が喜んでくれた。
それで充分。


「頑張ってるチームメイトにウマイもん作ってやれよ。部活終わりの腹ペコ男子は喜ぶぞ!」


「うん!ありがとう!」


立ち上がり、エプロンを手に取った。




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